死刑制度の廃止によって悪がはびこる近未来に「人斬りイヅナ」が暗躍

「飼われるものは悪を断罪す」。二十一世紀初頭。世界的な人権擁護の声が高まる中、日本はついに死刑制度の廃止を受け入れた。横行する凶悪犯罪。許さるべきではなかった罪が許され、遺族の無念は司法に届かない。しかし、その影に暗躍する狩人たちがいた……。「イヅナ斬審剣」は、狂乱と嘆きが渦巻く大都会を舞台にした近未来アドベンチャー。法で裁かれぬツミビトを、その手で葬る代行者「イヅナ」。「目には目を、悪には悪を、無法には無法を」。今宵もまた、若きイヅナの戦いが始まる。

「悪いが、この場で全員死んでもらおうか」。六角弘太郎(むすみ・こうたろう)は、現代に生きる必殺の血族。普段は明るく愛嬌を振りまき、誰にでも好かれる少年。あだ名は“ロッカク”。新しい学園に転入しても、すぐに周囲と打ち解けて男女問わず親しい交流を持つ。田舎から上京し、都会の光景に驚くなどひょうきんな一面も。表向きには借金のカタにヤクザの家へ連れてこられ、使い走りにされている可哀想な少年ということになっている。がしかし、裏では普段の顔からは全く想像もつかないような暗殺家業をやってのける「人斬りイヅナ」とは彼のことだ。だからといって、表裏二面のどちらも“六角弘太郎”であり、片方が虚偽というものではない。実際は借金のカタなどではなく、義侠・九頭竜家の客分として、司法で裁くことができない“悪”を依頼のもとで処断する人誅請負人。全身に“殺人”技術が染み付いており、罪人を追い詰めて恐怖を味わわせてから殺す。人の命を奪う側でありながら、弘太郎には人を信じたいという願望があり、良くも悪くも若さゆえの純心が滲み出ている。そして、義侠・九頭竜家の若き当主が「九頭竜鈴華」(くずりゅう・すずか)という美しく可憐な少女。日本人らしい落ち着いた美しさを持ち、長い黒髪が特徴的。組織のトップとして怖がられているが、本当は心優しく慈悲深い性格。主人公と同年のため大人びた雰囲気はあまり強くなく、年相応の少女らしさが表れている。本人もそれを意識して着飾りたいのか、シックで丈長な和風ゴスロリの着物に身を包んでいる。普段は当代として凛々しい姿を見せ、周囲と一線を引くような冷たい態度を取っているが、虚勢を張らなければいけない自分の境遇に悩むことも多い。「イヅナといえども、人を斬るだけが全てじゃない。人を救うことこそが私たちの本分よ」。鈴華自身に戦闘能力はないが、九頭竜を仕切る頭脳と度胸は相当なもの。今のところ気を許している相手は、復讐の為に力を渇望するサイバーイヅナ「姫川志乃蕪」(ひめかわ・しのぶ)と、パーフェクトな極道執事「早月政樹」(はやつき・まさき)、そして死亡した弘太郎の父親のみ。乃蕪は、先代イヅナである弘太郎の父親に拾われ、鈴華の付き人として九頭竜に迎え入れられた。早月は、“イヅナの使い” となって依頼人と接し、交渉を取りまとめて鈴華に伝えるスーパーハッカーだ。以上4人+個性的なキャラたちによる現代版「必殺」剣劇は、「復讐」をキーワードにダークに展開されていくぞ。

イヅナ斬審剣

2011年10月25日 14時32分