世間から隔絶された“楽園”でひっそりと暮らす記憶を失くした少女たち

記憶を長期にわたって失ったことがある経験のある人はごく稀だが、ツライ現実から逃げ出したくなったとき、いっそ過去をすべて捨て去ることができればいいのにと思うことがある。「翠の海 -midori no umi-」は、記憶を失った少年少女たちが繰り広げる「楽園」での日常と、その裏に隠された謎を解くサスペンスAVG。現実から遠く離れた楽園で、巻き起こる不可解な出来事、記憶を失った少女たちとの邂逅で、主人公の少年は自分探しを続ける。

「ここは……楽園なんだろ……? どうしてそれじゃダメなんだ……?」。主人公の「櫂」は、記憶を失って倒れているところを、森の中に潜む不思議な洋館に住む少年少女たちのリーダー的存在「みちる」に発見され、不思議な洋館で暮らし始めることになる。勉強はわりとできるほうらしく、運動も得意。ヴァイオリンも弾けるらしい。比較的器用な性格らしく、みんなからは慕われていくが……。穏やかで優しく、基本的にはなんでもできるため、誰からも頼りにされているみちるは、やってきたばかりの櫂に館でのルールを教え、一緒に暮らせるように尽力してくれる。「私はこの場所を楽園だと思っているの。ここに居る限り、私たちは必ず幸せになれるから」。ちなみに、みちるの特技もヴァイオリンだ。翠の、海。木々に囲まれた深い森の中。 決して出られないその場所で、櫂は同じく記憶を失った少年少女たちと出会う。森の中心には綺麗な湖。そして12人が暮らしている広い洋館。図書室にはたくさんの本があり、音楽室には楽器もあり、何の不自由もなく生活できる。しかし、そこは決して外には出られない。それは言うなれば樹海。決して出られない深い闇。出て行ってもかまわない。けれど……、外に出られる保証はない。その場所を、美しくも儚いこの場所を、みちるは“楽園”と呼ぶ。確保されたライフライン。消えた少年。ゆっくりと思い出される自分の過去……。櫂は、どうしてここにいるのか……。知りたいけれど、みちるから知ろうとしてはいけないと忠告される。「知ってしまったら……、どうなるのだろうか……?」。記憶の欠片を集め、失った過去を取り戻していく櫂。物語の結末はさまざまだが、一度物語を読み解くと以降はヒントモードが解放される。その周回でたどり着けるエンディング (カード) が点灯し、それをクリックすると不思議ちゃんの双子がアドバイスをしてくれるぞ。何も知ろうとしなければ幸せが約束されているが、あなたは楽園の裏にある謎が知りたくて仕方がなくなるはずだ。翠の海に閉ざされた楽園で、空を望めば――どうなると思う?

翠の海 -midori no umi-

2011年10月24日 15時45分