未来のツクバを舞台にほのぼの一転ハードSF「PARA-SOL」

PARA-SOLツクバ有数の大企業 「シャムロック・グループ」の遺児である谷田部乃愛と美海姉妹。家事万能の養子兼執事の谷田部シャムとともにツクバの郊外の小さなお屋敷で暮らしていた。突然やってきた遠縁の藤田小次郎が本作の主人公。晴れていても雨の日でも傘を持ち歩き、でもその傘が開かれるのは見たことがない。右手にはいつも手袋をはめているという謎の秘めた主人公は、谷田部家に使用人として住み込むことになる。闖入者と言ってもよい主人公は勝手に「家族」宣言をし、「PARA-SOL」という物語は始まる。

PARA-SOL谷田部姉妹の性格は姉と妹で随分と違う。姉の乃愛は容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能のスーパー女学生で学園のアイドルである。ただし実際には凄まじく不器用で、ファッションセンスは壊滅的という一面も。乃愛をパーフェクトなアイドルにするという妙な野望を胸の秘めた武田レイチェルという友人が乃愛の足りない部分を上手にフォローしてくれている。PARA-SOL妹の美海はボサボサ頭のショートヘアにヘッドフォンで友達も少なくいつも窓の外を見ているタイプ。他人と深く関わることを極端に避けている。乃愛は心を閉ざしがちな美海に対してどう接していいか分からず少々、妹への想いは空回りし続けている。こんな2人の関係を変えていくのが主人公。PARA-SOL主人公がやってくるまでは空回りしていた妹との関係が少しずつうまくいくようになっていく。美海も初対面の主人公に対しては全く警戒せず、側に居ようとする。主人公はバラバラだった姉妹の絆を修復し、「家族」として2人に積極的に関わっていく。もう1人。主人公の従姉妹の藤田のどかも、小次郎の後を追うように転校生という形でやってPARA-SOL来て谷田部家の使用人兼学生となる。家事万能で特に包丁使いは達人級という彼女だが、主人公同様、いつも右手に包帯を巻いて手が見えないようにしている。主人公はS研ツクバセンター・人工知能研究所で働いていた博士の甥……主人公とのどかには共通の秘密がある?
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PARA-SOLと、ここまでは多少の謎を含みつつも、姉妹を中心としたハートフルな物語なのであるが……作品名になっている「PARA-SOL」はどうやら特殊能力のことを指す言葉。シャムロック・グループの社長夫妻の護衛をしていたのがPARA-SOLと呼ばれる能力を持ったソルジャーによって構成される「方舟の子供達」と呼ばれるグループ。そのグループは護衛以外にも暗殺などの任務もこなしていたようで、シャムロック・グループの社長夫妻=乃愛と美海の両親の事故死にも関連しているようである。PARA-SOLとなると、話は一転して、ハードSFっぽくなってくる。そして物語のプロローグで語られる1通のメールの話。「Save Our Ship」とだけ書かれたメールに「wilco(了解)」と返信した人物とは……。どう転がっていくのか分からない壮大な物語。「閉ざされた彼女たちの世界に『嵐』が侵入した はじまりの夜でした」の「嵐」が意味するものは何?
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キーワード: OL

2010年06月10日 16時20分