チュアブルソフト渾身の1作! 実に500以上ものエピソードを詰め込んだ学園恋愛アドベンチャー

2005年2月11日に発売された恋愛アドベンチャーゲーム「Pure×Cure」と、翌年6月23日に発売された「あまなつ」の2本で「活き活きとした魅力的な女の子たち」の姿を描いてきたチュアブルソフト
その2本に勝るとも劣らない魅力的なヒロインたちが登場する新作恋愛アドベンチャーゲーム、それが「Sugar+Spice!(シュガースパイス)」だ。

2007年8月23日に発売されたアルケミストによるPS2移植作「Pure×Cure Re:covery(ピュアキュア リカバリー)」のレビューでも記載した「ヒロイン同士の横のコミュニケーション」は今作でも健在、というかさらに深まっており、グループとしてのヒロインたちの魅力が個々の魅力をさらに引き出す結果となっている。

そんな非常に魅力的な1作を、一足お先にプレイしてみたぞ!


■関連商品レビュー
保健室の養護教諭として女の子たちと触れ合うピュアな恋愛アドベンチャー



●主人公は記憶喪失! みんなは自分を知っているのに自分はみんなを知らない

「きみは誰かな?」そんな医師の質問を軽い冗談で受け流しつつも、その答えを見つけられない主人公。医師によると交通事故に遭い、記憶喪失になってしまったのだという。
日常生活に支障はないが、自分の顔も名前も生年月日も、親兄弟の顔も、そもそも親兄弟がいるのかすら分からなくなってしまったらしい。
ヒロインたちは主人公のことをよく知っているが、自分は彼女たちの顔も名前も分からない。
そんな状況から一つずつ彼女たちのことや、自分との間にどんな過去があったのかなどを知っていくのだ。

プレイする側にとってはこの「主人公はヒロインたちのことを知らなくて当たり前」という状況は非常にありがたい。
プレイヤーはもともとヒロインたちのことを知らなくて当たり前だが、同じく知らない主人公に対してすんなりと感情移入できる。

最初は名前すら分からないヒロインたち。
主人公が交通事故に遭って入院中ということは知っているが、記憶喪失だという事実は主人公から直接知らされることになる。
驚いたり、泣いたり、呆れたり、その反応は様々だが、なぜそういう反応を取るのか主人公には分からない。

初めて会うのに初めてじゃない。みんなは自分のことをよく知っているのに自分は相手のことがまったく分からない。

そんな奇妙な状況から、改めて彼女たちのことを知っていき、理解し、親密になっていくのだ。


▲幼馴染みらしいのになぜだか冷たい態度を取る彼女とは、過去のある出来事により疎遠になってしまっているらしい

▲胸の中で大泣きする少女。しかし、なぜ泣くのか、彼女と自分の間に過去に何があったのかは思い出せない…


●主人公を取り巻くメインヒロインはいずれも魅力的な5人

「Pure×Cure」同様に誰から攻略するか迷ってしまうほどのヒロインたちの魅力は健在だ。
プレイしていく中で迷いながらも「最初はミャンマーから攻略するぞ!」と決めていたのだが、後輩として入ってくるため他のヒロインたちより後から登場することとなる司の存在によってまたその決意が大きく揺らぐ結果となってしまった…。



【春瀬歌】(はるせうた) [あだ名]ハモ

クラスメート。
主人公とは以前から親しかった(らしい)。
明るい性格で、イタズラ好き。
主人公の記憶がないのをいいことに、ある事ない事ふきこんで、主人公をだましては慌てさせ(時にはドギマギさせて)楽しんでる。

なにげに家庭的で、料理の腕前は一級品。
将来の夢はコックさん。
洋食屋でバイトとして修行中の身。
いろんな料理にチャレンジしては主人公に味見役を頼んでくる。
たくさんのウソにはぐらかされてわかりづらいけど、主人公のことが大好き。



【南条寺夢路】(なんじょうじゆめじ) [あだ名]ジジ

クラスメート。
主人公とは以前から親しかった(らしい)。
家はお寺で、保育園もやってる。
二世帯家族で弟妹3人のいる大家族の長女。
面倒見のいいしっかり者。

その流れで、仲間内ではリーダー的存在。
指先が器用。
手芸が趣味。
才色兼備、大抵の事はそつなくこなす。
人間もできてる。
おまけに家も裕福ときて、男子生徒たちの間では高嶺の花。



【足利はねる】(あしかがはねる) [あだ名]ピョン

クラスメート。
歌、夢路と仲がいい。
二人を通して、主人公と親しくなる。
竹を割ったような性格。
お祭り好き。
素直にして直情。
思い立ったが吉日。
ありあまる元気で仲間を巻きこむムードメーカー(トラブルメーカー?)。

失敗しても後悔しない、明るく前だけを見てる良い子(「たまには反省しなさい」とよく夢路にしかられる)。
スポーツ特待生。だけあってスポーツ万能、そして勉強はからっきし。
部活にバイトにと忙しい毎日だが、底なしの元気でこなしてる。



【深山藍衣】(みやまあい) [あだ名]ミャンマー

主人公とは幼なじみ。
その関係で、時期によっては、主人公は藍衣の家に居候したりもする。
ちなみに家は銭湯。
飄々とした性格で、マイペース。…ワガママとも言う。

学校では才女で通ってる。
成績は学年トップ。
記憶力も洞察力も、勘もすごい。
代わりに大の運動音痴。
大の面倒くさがり屋。
遠視。たまにメガネ。読書する時とか。



【早乙女司】(さおとめつかさ) [あだ名]オトメ

一学年下の後輩。
主人公の隣室の住人(寮生)。
人見知りする性格で、出会って間もない頃はヘッドホンつけるなどして人付き合いを拒んでる。
主人公にしてみれば、かえって放っておけない。

仲間内ではマスコット的存在に。
よく歌にだまされる。
でも、だまされてることに気づかないカワイイ子。
家のことはあまり話したがらないが、帰国子女らしい。
英語ペラペラ、音楽への造詣も深い。というか絶対音感の持ち主。



【新木和真】(あらきかずま)

主人公。
事故で記憶をなくしてる。
結ノ宮学園に通う生徒で、寮生(らしい)。
何もかもわからないことだらけだけど、めげずに明るく生きてます(あんまり気にしてないだけという話もあり)。
ただ、周りの人たちを傷つけないようには、細心の注意を払ってる(つもり)。


●物語を引き立てるサブキャラクターたちも豪華!

物語を彩るサブキャラクターたちのキャラが立っているのもチュアブルソフトの特徴といえるだろう。
今回は「あまなつ」からソフィア先生や大津奈美、海野沙智、二ノ宮空といったキャラクターたちがサブキャラクターとして参加しており、チュアブルソフトのファンとしてはかなり喜ばしいファンサービスのようにもなっている。

また、「Pure×Cure」をプレイした人はお気づきかと思うが、主人公の担当医師はあの高島さんだったりする。
彼のセリフから「Pure×Cure」のヒロインの存在も伺えて、知っている人ならば密かに楽しめるエピソードも多数散りばめられているぞ。

もちろん今作オリジナルのキャラクターも十分以上に魅力的だ。
幼馴染みの彩弥姉さんや、担任の倫ちゃんなど、攻略できないのがあまりにも残念な女性キャラクターはもとより、主人公のクラスメートや後輩も物語に欠かせない重要な役割を担っている。

▲ゲームの前半で随分とお世話になる彩弥さんは藍衣の姉で幼馴染みだ。担任の倫ちゃんにもお近づきになりたすぎるぞ…

▲高島さんのモザイク画というセリフから「Pure×Cure」のヒロインの存在が分かる


●たっぷり詰め込まれたエピソードを自由に選べるゲームシステム

「Sugar+Spice!」はマップを中心にストーリーが進行していくタイプのアドベンチャーゲームとなっている。
マップ上にはショートエピソードがアイコンとして浮かんでおり、それらを自由に選ぶことで物語が進んでいく。

アイコンを選ぶとイントロ画面が表示され、そのエピソードのタイトルや選ぶために必要な行動ポイント、どのヒロインが登場するかなどが表示される。
特定のヒロインとのストーリーだけを進めたい場合はそのヒロインに関わるエピソードだけをサクサク見ていってもいいというわけだ。
もちろん世界観にどっぷり浸りながら、できる限りのエピソードを選択し、見ていくということもできる。

「Sugar+Spice!」の物語の期間は1年。マップには月ごとにショートエピソードのアイコンが多数表示されていき、それらを合わせたボリュームは300以上と相当やり応えのある量になっているぞ。

▲マップには枠のみのアイコンが浮かんでおり、一度見たエピソードはアイコンのイラストが表示される。アイコンを選ぶとイントロ画面に移り、必要行動ポイントと残りの行動ポイント、登場するヒロインが表示されるぞ

▲中にはヒロインの視点で話が進むガールズサイドというエピソードも存在する。また、一つのエピソードを複数の視点から見たside A、side Bといったエピソードもあるぞ


●オトメカイセキでヒロインの成分を見ながらいつでも告白できちゃうシステム

主人公は時々不思議なグラフの夢を見る。
ヒロインたちとのエピソードを元にしたヒロインたちの成分表示グラフ「オトメカイセキ」がそれだ。
最初はヒミツの部分ばかりのヒロインたちの情報が少しずつ埋まっていき、それらの情報量がそのまま彼女たちとの親密度として考えることができる。

そして「Sugar+Spice!」の面白い点は、好きな女の子に、好きなときに告白できる「好きになったら告白! システム」だ。
特定の選択肢を選べばこのヒロインの攻略ルートになるとかそういうゲームとは全く違い、プレイヤーが自由に告白のタイミングや相手を選ぶことができるのだ。
状況によっては振られることもあり、もちろん付き合う可能性もある。

振られてもまた友達として仲良くしているうちに再告白できるチャンスもあり、もしかしたら逆に告白されるようなこともあるかもしれないぞ!

▲エピソードを繰り返していくうちにオトメカイセキの情報が段々と埋まっていく。これが彼女たちとの親密度のバロメーターだ

▲告白可能になったからさっそくミャンマーに告白してみたところ、あっさり振られてしまった。諦めずに2度、3度と告白していけばいつかは! あまりオススメはできないが、諦めて他の女の子にチャレンジするということももちろん可能だ


●大ボリュームのエピソードだからこそエッチシーンもドキドキに!

春には花見をし、夏には水着ではしゃぎ、秋には夜長の静けさにひたり、冬にはコタツで暖まる。
1年間に渡って四季折々のエピソードがたっぷりと、300以上も詰め込まれている大ボリュームの「Sugar+Spice!」。
それだけ力を入れて作り上げたたくさんのエピソードがあるからこそ、エッチシーンのドキドキ感は最高潮になる。

「何度も振られてやっと付き合えた彼女だから!」とか、「友達以上、恋人未満が長かったけどついに彼氏彼女の関係に!」とか、そんな恋愛を経た上での初エッチに、そこから先に、期待するなという方が無理というものだ。

▲エピソードのボリュームが膨大なため、ヒロインと付き合うまでや、付き合った後にもたくさんのエピソードを経験していく

▲たくさんのエピソードを経た後のエッチシーンはとてもイケナイことのような、うれしいような、複雑なドキドキ感を与えてくれるはず


●キャラクターの活き活きとした存在感が最大の魅力

冒頭でもお伝えした「ヒロイン同士の横のコミュニケーション」により、実に活き活きとした存在感が「Sugar+Spice!」の最大の魅力といえる。

ヒロインたちだけでなく、サブキャラクターたちとの軽妙な会話や人間関係によってその存在感はさらに深みを増していく。


未だにチュアブルソフト作品に触れたことがないという人にはぜひプレイすることをオススメしたい。
恋愛アドベンチャーゲームというジャンルの中でも特に、ここまでのクオリティを持つ作品にはなかなかお目にかかれないのだから。




Sugar+Spice! (シュガースパイス) 初回版
著作・制作チュアブルソフト
ジャンルオトメカイセキAVG
発売日2007年9月28日
価格9,240円
購入する!



キーワード: 純愛, 学園

2007年09月27日 21時12分