エロゲなのに愛だとか萌えだとかいう要素とは恐ろしく縁遠く、3人の女が『強欲・裏切り・復讐』をテーマにタフでクールでスタイリッシュに悪逆非道の限りを尽くすSFマカロニウェスタン、それが「続・殺戮のジャンゴ ~地獄の賞金首~」だ。
7月27日の発売に先駆けてプレイした感想を一言で言うと「エロゲっぽくない」といったところだろうか。
同じ
ニトロプラスの人気作品であるスーパーロボットADV「斬魔大聖デモンベイン」でお馴染みの、Niθ(にしー)によるキャラクターデザインは、衣服や装飾品などの細部に至るまですべてが洗練されており、虚淵玄(うろぶち げん)によるシナリオはゲームをプレイしているというより、良質な映画やアニメーションでも見ているかのような気分で引き込まれてしまう魅力がある。
エロゲという枠をいい意味で大きく逸脱した「エロゲっぽくない」エロゲ、それが「続・殺戮のジャンゴ ~地獄の賞金首~」だ!
●原始的なテクノロジーのみ使用が許された惑星
物語の舞台は熱砂の惑星スイートウォーター。かつて栄華を誇った人類は、成層圏から衛生軌道上付近に生息する機械知性体・プロトゾアンとの戦いに敗れ、その文明の多くを剥奪される。
一部の地域を除いて電子回路などを用いたテクノロジーの使用は禁止され、人々は火薬や内燃機関といった原始的なテクノロジーに頼った生活を余儀なくされている。
惑星上ではマカロニウェスタンそのままの生活様式や風俗だが、宇宙規模の時代背景としては高度な文明を持つエイリアンたちが文化交流しているという、SFとマカロニウェスタンが融合した世界観が完全に出来上がっているのだ。
▲だだっ広い荒野に西部の町並み。こうして見るとごく普通のウェスタンな風景だが…↓
▲↑軌道衛星上にはプロトゾアンという機械知性体が生息しており、地上で電子回路などのを使用すれば即座にプロトゾアンに補足され、マスドライバー攻撃により付近一帯にメテオのシャワーが降り注ぐ
そんなSFとマカロニウェスタンが同居した世界で、スイートウォーター開拓史上もっとも高額な賞金、総額50万ドルをかけられているのが「黒のフランコ」だ。彼女の首に賭けられた50万ドルを狙う凄腕の賞金稼ぎ「リリィ」と、同じく賞金を狙う決して名前を名乗らない金髪の女ガンマン。多数の荒くれ者を巻き込み、三つ巴の戦いは熾烈を極めていく。
▲史上最高額の賞金首「黒のフランコ(中央)」と、その賞金を狙う凄腕の賞金稼ぎ「リリィ(右)」と「名前のない女(左)」
●3人のメインキャラクターがとにかく魅力的!
「続・殺戮のジャンゴ ~地獄の賞金首~」の世界は荒くれ者やならず者に溢れており、弱者は虐げられ、暴力が支配する世界構造になっている。男でも生きていくのが精一杯という世界の中で、メインキャラクターの3人はとにかく男以上にパワフルだ。
史上最高額の50万ドルの賞金首で、一部の民衆やならず者たちから英雄視されている「黒のフランコ」は、手下を引き連れて駅馬車や銀行を襲って荒稼ぎし、凄腕の賞金稼ぎ「リリィ」と「名前のない女」はそろって高額の賞金首を次々と仕留める。荒くれ者やならず者たちをまとめて丸めて貪ってしまうような豪快さや、必要であれば仲間すら犠牲にする冷徹さ、利害関係の一致で手を組んだとしても決して相手に背中を見せず、いつでも相手の寝首をかこうとする強欲さなど、荒野の惑星をしたたかに生きる女たちがあまりにも魅力的だ。
▲「黒のフランコ」起訴罪状218件。賞金総額50万ドル。スイートウォーター開拓史上最も大胆かつ狡猾な犯罪者。ルガー・ブラックホークのレプリカである『黒の鷹』がトレードマーク CV:岩田 由貴(いわた ゆき)
▲「名前のない女」金髪がトレードマークの女ガンマン。決して名前を明かさず、「ブロンディ」「ミズ・ノーボディ」などの呼称で呼ばれている。レミントン・ニューモデルアーミーのレプリカを愛用 CV:鈴美 巴(すずみ ともえ)
▲「リリィ・サルバターナ」忠実な従者にして性玩具のアルフィーを従えた『禿鷹』の異名で恐れられる冷酷非情の女賞金稼ぎ。レズビアン。高価かつ高性能な銃器を多数取りそろえており、スイートウォーターでも珍しい機械式の拳銃モーゼルC96レプリカを愛用している CV:篠崎 双葉(しのざき ふたば)
●とにかくよく動くグラフィックと声優の演技にも注目!
写真と文章では伝え辛い部分だが、プレイしてみて印象的だったのはとにかくよく動くという点。背景の上に表情やポーズが変わる立ち絵という一般的なエロゲのイメージではなく、会話の内容や状況に合わせて一部分がクローズアップされ、文章や音声と合わせてより状況が理解しやすく、ストーリーにのめり込みやすく作られている。
また、メインキャラクターのみならず、サブキャラクター、それも登場してすぐ死んでしまうような端役にいたるまですべての声優の演技がとても上手いと感じた。
本作品はヒロインを攻略していくとか、ラブラブ要素、萌え要素を求める人の意にはそぐわないが、そういった「ぬるい」ゲームに飽きた人にはぜひプレイして欲しい作品だ。本格的なストーリーと爽快感溢れる痛快な娯楽性は、味わわなければあまりにも勿体ない。
続・殺戮のジャンゴ ~地獄の賞金首~ 皆殺しパック |
ジャンル | 空想科学マカロニ大活劇 |
発売日 | 2007年7月27日 |
価格 | 9,240円 |
企画/脚本 | 虚淵玄 |
原画 | Niθ |
音声 | フルボイス |
メディア | DVD-ROM |
皆殺しパック特典 | オリジナルサウンドトラック
銃声が響く! 光る! スーパーマカロニ銃
※「皆殺し(37564)」の語呂にあわせ、 「製品」「サントラ」「銃」の3つのセットを7564個限定生産 |
動作環境 |
対応OS:Windows 2000/XP Home/XP Professional/Vista ※XP/Vistaは32bitのみ対応
▼2000&XP
CPU:Pentium3 600MHz/Celeron 633MHz Athlon XP1500+(必須)/Pentium4以上(必須)
HDD:1GB
メモリ:256MB以上(必須)/512M以上(推奨)
DirectX:9.0c以上
▼Vista
CPU:Pentium4 1GHz(必須)
HDD:1GB
メモリ:1GB以上(必須)
DirectX:10以上
windows Aero推奨
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